やはり、内部関係者の犯行でした。

 

2016年に横浜・大口病院で相次いだ入院患者への点滴異物混入事件で、当時勤務していた元看護師の久保木愛弓容疑者が逮捕されました。

 

久保木愛弓容疑者の犯行動機は身勝手極まりないものでしたが、それ以上に当時の大口病院の体質が闇深いものでした。

 

今回は横浜・大口病院の点滴異物混入事件について、事件のあらましや久保木愛弓容疑者の犯行動機、事件当時の大口病院についてまとめてみました。

 

横浜・大口病院の点滴異物混入事件とは?

大口病院

 

2016年9月、横浜市の大口病院で入院患者の点滴に異物が混入され、2人が相次いで命を落とすという事件がありました。

 

事件は、2人目に亡くなった八巻信雄さん(88歳)の点滴袋の中が泡立っていたことで発覚しました。

 

亡くなる前日の19日夜10時頃に交換された、八巻さんの点滴袋。

 

その後およそ1~2時間おきに見回りがありました。

 

看護師が20日午前3時頃に見回りをしたときには異常がなく、これが異変前の最後のチェックとなりました。

 

午前4時頃に八巻さんの心拍数が下がっていることに気づき救命措置を行いますが、午前4時55分に八巻信雄さんは帰らぬ人となってしまいました。

 

その後、看護師が八巻さんの点滴袋の中が泡立っていることに気づき、病院が警察に通報しました。

 

点滴からは、消毒に使う界面活性剤「ヂアミトール」の成分が検出されました。

ヂアミトール
ヂアミトールは、病院の床などに消毒に使う界面活性剤(洗剤)です。

 

更に調べたところ、2日前の9月18日に他界した西川惣蔵さん(88歳)の点滴袋からも「ヂアミトール」が検出されました。

 

八巻さんと西川さんが命を落とした原因は、界面活性剤の中毒と断定されました。

 

警察は事件に病院関係者が関与した疑いが強いと見て、捜査を開始しました。

 

述べ1万人もの捜査員を動員し、看護師ら病院関係者を中心に2,000人近くの事情聴取を行ってきましたが、

・点滴袋は無施錠で保管され、病院関係者なら誰でも触ることができた

・有力な目撃証言がなく、防犯カメラも設置されていなかった

・界面剤が点滴に混入された事件は例がなく、混入された量の特定が困難

・決め手となる物証に乏しい

などから、捜査は長期化しました。

 

しかし2018年7月7日、事件は急展開を迎えました。

 

当時大口病院に勤務していた元看護師の久保木愛弓容疑者が「私がやりました」と犯行を自供したのです。




 

久保木愛弓容疑者の出身校や性格は?犯行動機が闇深い

久保木愛弓容疑者

横浜・大口病院の入院患者点滴異物混入事件で逮捕された、久保木愛弓容疑者

 

年齢は31歳で、職業は元看護師です。

 

久保木愛弓の出身校

報道で出回っている久保木容疑者の制服姿から、出身高校は神奈川県立秦野曽谷(はだのそや)高等学校と見られています。

久保木容疑者
秦野曽屋高等学校の偏差値は49で、県内では204校中89位(「みんなの高校情報」」調べ)

 

高校を卒業した後、看護学校を卒業し、看護師として働き始めた久保木愛弓容疑者。

 

当初は別の病院に勤務していましたが、2015年に大口病院に転職しました。

 

転職の理由は

救急に配属されるのがイヤだった」

「終末期患者は文句を言わないので楽

というものでした。

 

久保木愛弓の性格や評判は

久保木愛弓容疑者に対する、大口病院スタッフからの評判

「まじめに淡々と、任された仕事をこなす印象」

「同僚と仲良く働いていた」

というものでした。

 

しかし別のスタッフからは

「変わり者」

「他人の飲み物を勝手に口にする」

「他人が使ったボールペンを触ることができない」

という証言も出ています。

 

久保木愛弓容疑者の性格をこれらの証言や転職理由などから推測すると、

・好き嫌いが激しい

・面倒くさがり

・自己中心的

という様子がうかがえます。

 

久保木愛弓容疑者は逮捕前、マスコミのインタビューに対し「犯人扱いされて悲しい」と語っていました。

発覚してからショックを受け続けている。一部のマスコミから私が犯人じゃないかという情報が流れた。その理由が、私が『変わり者』ということらしく、他人の飲み物を飲んじゃったり、なんだかんだと言われたりしている。そんなことはやっていないのに、誰がそんなことを言ったんだろうと思っている。患者さんが病院で殺されてしまうということ自体がショックで悲しかった。それに加えて、私が犯人じゃないかと疑われて…。みんなが自分をそういう目で見ていたのかなと思うとすごくショックだ

 

更には当時の看護部長のことを「スタッフに対する好き嫌いが激しい人だった」と批判もしています。

 

まるで自分を悲劇のヒロインであるかのように扱っていた久保木愛弓容疑者。

 

しかし同僚たちは初めから久保木容疑者を疑っていたようです。

 

同僚たちは久保木容疑者のシフトを把握しているのですから、当然といえば当然ですよね。

 

大口病院では点滴異物混入事件の以前にも、看護師のエプロンが切り裂かれるなどの事件が起きていました。

大口病院事件時系列

 

久保木愛弓容疑者が、これら全ての事件に関与した疑いも持たれています。

 

久保木愛弓の犯行動機

病院のベッド

 

久保木愛弓容疑者は点滴異物混入の犯行動機について、

自分の勤務中に患者が亡くなると、遺族への説明をしなければならず苦痛だった。勤務を交代する看護師との引き継ぎの時間帯に混入させていた」

と話しています。

 

つまり久保木愛弓容疑者は「自分が楽をしたい」、ただそれだけの理由で犯行に及んだのです。

 

あまりにも自分勝手な理由に、開いた口が塞がりません。

 

さらに久保木愛弓容疑者は、

同じような方法で、20人以上の点滴に混入させていた

ということも自供しています。

 

久保木容疑者が勤務していた大口病院は、たった3ヶ月間で48人もの入院患者が他界した時期があったそうです。

 

当時の大口病院4階(久保木容疑者が勤務していたフロア)のベッド数が42であったことを考えると、3ヶ月で48人もの入院患者が他界するというのは異様に多い数字です。

 

しかし点滴異物混入事件が発覚し、警察が捜査に乗り出した途端、入院患者の他界が止まったそうです。

 

この事実を知ると、久保木愛弓容疑者は20人どころか、50人近くの入院患者に異物を点滴したのではないかと疑わしく感じられ、恐ろしい気持ちになります。

 

久保木愛弓容疑者の面倒くさがり自己中心的な性格が、病院内で最もか弱い存在の入院患者に対する凶行となって向けられたことに、医療従事者として怒りを覚えます。




 

久保木愛弓よりも更に深い大口病院の闇とは

大口病院

 

大口病院は当時、老人医療に特化したいわゆる「老人病院」でした。

 

「特養(特別養護老人ホーム)」や「老健(介護老人保健施設)」に入ることもできず、有料老人ホームにも入ることのできない老人の受け皿として、大口病院は機能していたのです。

 

当時、大口病院の4階はターミナルケア(終末期医療)が行われ、入院患者の最期を看取る場所となっていました。

 

入院患者はベッドで寝たきり、点滴で命をつなぎながらあの世からのお迎えを待つ方ばかりでした。

 

大口病院のことを「現代の姥捨て山」と例えた人もいるほどです。

 

こういった「老人病院」では、老老介護でやむを得なかったり、子供が働き盛りで面倒を見られないなどの理由から

・患者の退院が決まっても、むしろ家族から入院を引き伸ばしてほしいと要請が来る

・状態が悪化して再入院すると、むしろ家族がホッとしている

・転院を勧めても「あの病院は遠い、汚い」など難癖をつけて、引き取ろうとしない

ということがよくあります 🙁 

 

大口病院では3ヶ月間で48人もの患者が他界し、さらには点滴異物混入事件が発生して大々的に報じられました。

 

しかし、その割には入院患者の家族のクレームが一向に報じられないと思いませんか!?

 

「うちの親ももしかしたら点滴に異物が混入されたのでは!?」

「こんな病院にうちの親は置いておけません!引き取ります!」

などというクレームがあっても良さそうなものですが、現実にはそんな報道は全くされていません。

 

この事実に、大口病院の闇深さを感じます。

 

いったいいつまで生きるのか分からない老人、かさむ入院費用、介護の負担…

 

そんな不安を抱えて過ごす家族にとって、入院患者の最期の知らせはむしろ

やっとお迎えがきたか

と、ホッとする一面があったのかもしれません。

 

久保木愛弓容疑者が「面倒くさい、楽をしたい」という気持ちで行った犯行と、患者家族の要望が一致していたら・・・

 

そんな恐ろしい想像をしてしまい、終末期医療の大きくて深い闇を見た気がしました。

 

尚、現在は大口病院は「横浜はじめ病院」と名前を変えて、スタッフも医療安全管理対策も過去とは一新されています。

 

こうした恐ろしい事件が2度とおこらないよう願うばかりです。