千葉県こども病院に入院していた赤ちゃんがMRSAに院内感染し、その後亡くなっていたとの報道が12月1日にありました。

 

この病院では他にもMRSAに感染した乳児がいるとのことで、心配です。

 

MRSAとは何が恐ろしいのか、院内感染の経路の考察など、病院に勤務する視点からまとめてみました。

 

 

MRSAで乳児が死亡!千葉県こども病院で

千葉市緑区にある千葉県こども病院で、入院中の生後1ヶ月未満の男の子がMRSAに院内感染し死亡していたことが明らかになりました。

 

千葉県こども病院では他にも1歳未満の乳児5人にMRSA感染が確認されたといいます 🙁 

 

現在では新生児治療の新規受入の大半を停止し、感染拡大防止に努めているという千葉県こども病院。

 

抵抗力の弱い新生児が次々とMRSAに感染してしまったのは、何故でしょうか。

 

MRSAとは?

MRSAとはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌」のことです。

 

抗生物質の「メチシリン」に耐性を持つ=抗生物質が効きにくい黄色ブドウ球菌、ということです。

 

MRSA

 

「抗生物質が効かないなんて、さぞや恐ろしい菌なのでは!?」

 

もしかしたらMRSAについてこう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし黄色ブドウ球菌は私たちの皮膚や鼻粘膜などにいる常在菌で、誰でも持っている菌の一つです。

 

MRSAは黄色ブドウ球菌の一種で、抗生物質に対する耐性遺伝子を持っています。

 

現代の医療では抗生物質がたくさん使われているため、黄色ブドウ球菌が進化して、抗生物質に耐性を持つ種類が発生してしまいました。

 

通常MRSAは免疫力があれば感染を起こすことはなく、保有していても無症状のままで過ごすことができます。

 

しかし免疫力の低下している人がMRSAに感染すると、MRSAが体内で増殖して

・肺炎

・菌血症

・皮膚・軟部組織感染症

・手術創感染症

・尿路感染症

などを引き起こします。

 

免疫力の低下している人の場合、MRSAの局所感染が全身に広がってしまい、髄膜炎や腹膜炎などを引き起こして敗血症ショックで死亡することもあります。

 

 

MRSAは院内感染を起こす代表的な細菌であり、医療機関や介護施設では院内感染対策に力を入れる必要があります。

 

MRSAの感染経路は?

MRSAの感染経路は接触感染です。

 

MRSA感染を起こしている場所に触った手で他の場所に触れたりすることで、そこからMRSAは広がっていきます。

 

医療従事者がMRSA保菌者のケアをした後、手洗いや消毒が不十分なままで他の患者をケアすることが院内感染の広がる原因の1つとなっています。

 

また、MRSA保有患者のベッドの柵や血圧計など、医療器具を通して感染が広がることもあります。

 

千葉県こども病院でMRSA院内感染が起こったのは何故?原因を推察

千葉県こども病院で亡くなった乳児は、心臓の手術を受けた後に発熱し、採取した血液からMRSAが検出されました。

よって乳児の死因はMRSAによる敗血症だったと考えられます。

 

いったいどうしてMRSAに感染してしまったのか、その原因を私の勤務先(病院)の細菌検査室主任に考察してもらいました。

 

主任いわく、

「患者さんをケアしたあと、グローブ(手袋)は皆ちゃんと変えるんだけど、手を洗わない人が結構いるんだよね~。MRSAって誰でも持ってる菌だし、やっぱり病院の職員から伝染ったんじゃないかな?」

とのこと。

 

もともと抵抗力の弱い乳児が、手術によって更に抵抗力が落ちていたと思われます。

 

そこへ、院内のどこかにいたMRSAが病院職員を通じて乳児に伝染ってしまい、そして敗血症を発症したものと考えられます。

 

現在、千葉県こども病院では職員の保菌検査を行っているそうですが、結果はまだ明らかになっていません。

 

しかし他にも男女5人の乳児がMRSAに感染していることが発覚しています。

 

千葉県こども病院では2013年にもMRSA感染で子供が亡くなっているのですが、そのときに感染対策・再発防止策をきちんと取っていれば今回のMRSA感染はなかったのではないかと考えられます。

 

病気を治すために入院した病院で、まさか感染症で命を落とすことになるとは、本当に残念でなりません。

 

亡くなった乳児の冥福を祈ると共に、今後2度とこのようなことが無いよう、再発防止を徹底してもらいたいと思います。